COLUMN職人のひとりごと

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職人と話す機会が少ない現代の住宅業界

 

 

現代の住宅業界では、建築主(お客様)が直接、専門業者(水道屋、電気屋、大工など)と話す機会は少なくなっています。
その理由は複雑なので割愛しますが、デメリットを1つだけ上げると「お客様が専門業者から納得のいくまで詳しい工事内容を聞くことができない」ということに尽きると思います。
私は建築現場で、こうした意思の疎通がうまくいかなかったことによる大小さまざまトラブルを長年見てきました。
建築会社に悪気はなくても、結果的にお客様はごまかされたり、言いくるめられたりしやすく、悪質な場合は騙されてしまう場合もあります。お客様は一般的には建築に詳しくないので、手抜き工事や明らかな施工ミスがあってもそれが判断できないからです。
お客様は一度契約してしまうと立場が弱くなりがちであり、建築会社の言いなりになりやすい。
そのことは自覚しておいたほうがよいと思います。
とはいえ、現代は住宅建設に関する法律がたくさんあり、簡単なDIYは別としても、それらの法律を守って安全に工事をするには専門家に任せるしかない、というのも事実です。
実際に応対している人(営業担当など)が、お客様が思うほどの専門家ではないという現実もあります。
通常、建築会社におけるお客様窓口は営業担当です。話が進むと設計者や現場監督が打ち合わせに入ってきます。
けれども彼らが全員、現場の専門知識を持ち合わせているわけではありません。
現代建築はそれぞれの業者に、高度な専門知識が必要ですから、すべてに精通している人など、ほとんどいません。要するに「餅は餅屋」ということです。